来年はゼロ、ということでは困る。
会社は継続しなければ、株主に対する責任を果たすことはできない。 この株主に対する責任を継続的に果たすためには、その前にやるべきことをやらなければならない。
お客様への責任であり、社員への責任であり、社会に対する責任を果たすことである。 この3つの責任をこの順番どおりにきちんと果たすことができれば、必然的に株主に対する責任を継続的に果たすことができるのだよ」感服するとはこのことだ。
全身に心地よい電流が走り、しびれた。 その感覚が、いまでも鮮明に残っている。

日米の産業調査に興味深いデータがある。 企業理念が社内に根づいている会社とそうではない会社との比較なのだが、前者の経常利益率は平均して後者の4倍も上回っているというのだ。
「人はなにか大きなことを信じたときに大きな仕事をする」という言葉がある。 やはり、全社員の心を束ねる求心力としての威力を発揮する、しっかりとした価値観がある会社でなければダメなのだ。
この「わが信条」はたんなるお題目なのか。 いや、そうではない。
その証拠を示そう。 1982年のことだ。
シカゴ警察がシアン化合物で死亡した市民(7人)が直前にTイレノールを服用していた、と発表した。 いわゆる、「Tイレノール事件」である。
この発表はアメリカ市民を大きな不安に陥れた。 じつは製造に携わったのは子会社だったが、市民は「CイレノールはJンソン.Aンド.Jンソンが製造している」と考えていた。
さて、この時点では「Tイレノールにシアン化合物混入の疑いがある」というだけで、死亡原因であるかどうかは不明だった。 Jンソン.Aンド.Jンソンはどうしたか。
情報を入手するや、会社の決断と断行は早かった。 経営者会議が招集されるや、だれの反対もなく、すぐ結論に達した。

Jームズ.Bークは記者会見を開いて、「Cイレノールは飲まないように」と警告を発するとともに、市場に出ている全製品の回収を発表したのである。 彼はその後、マスコミにできるかぎり登場しては、情報開示を徹底し、会社の利益ではなく、顧客の生命を守ることを第1義として行動した。
生産中止、販売中止、製品回収。 顧客向けのホットラインを開設し、あらゆる情報を提供する姿勢を示した。
顧客から回収するに当たっては、引換券を発行し、新薬と交換できるようにもした。 じつは、このときのコストは1億ドルを超えるものにもなったのである。

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